動画の解説を参照
前回は外積を使って三角形の面積を求めました。
このような平行四辺形の面積も、同様にして外積を使えば簡単に求められます。
これは合同な2つの三角形2つに分けられます。
これらの辺に対応するベクトル \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\) を考えれば、
面積はさきほどの三角形の2倍、つまり
\(S=\left|\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{b}\right|\cdots(1)\)
になることがわかります。
動画の解説を参照
「てこ」は弱い力でものを動かしたりするのに使われるもので、普通の棒のてこなら支点からの距離と力が反比例します。
この図の場合なら、「長さ」×「重さ」が同じであれば釣り合います。
外積を使ってこれを考えることもできます。
支点からそれぞれの力がかかる点を結ぶベクトルを \(\boldsymbol{r}_a\), \(\boldsymbol{r}_b\)、
おもりにかかる重力を \(\boldsymbol{F}_a\), \(\boldsymbol{F}_b\) とすると図のようになります。
(話を簡単にするため、重力の係数 \(g\) を1とします)
それぞれ前者と後者の外積を求めると、
\(
\begin{eqnarray}
N_a&=&\boldsymbol{r}_a\times\boldsymbol{F}_a
&=&-2\times(-2)
&=&4\\
N_b&=&\boldsymbol{r}_b\times\boldsymbol{F}_b
&=&4\times(-1)
&=&-4
\end{eqnarray}
\)
となります。
これらの量は、「棒を反時計回りに回そうとする力」と解釈することができます。
これを
力のモーメントまたは
トルクと呼びます。
このケースでは、力のモーメントの総和が0なので結果としてつりあうことになります。
もう少し複雑な場合でも力のモーメントが役に立ちます。例えばこのような中心 (0, 0) に軸がある円板の4か所に重さ1の重りをつけた場合は、
軸の部分を支点としてこのように4組のベクトルの組合せができます。
\(
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{r}_a&=&(-1, 2)&,&\boldsymbol{F}_a&=&(0, -1)\\
\boldsymbol{r}_b&=&(-2, 0)&,&\boldsymbol{F}_b&=&(0, -1)\\
\boldsymbol{r}_c&=&(2, 1)&,&\boldsymbol{F}_c&=&(0, -1)\\
\boldsymbol{r}_d&=&(1, -1)&,&\boldsymbol{F}_d&=&(0, -1)
\end{eqnarray}
\)
これらについて力のモーメントを計算すると
\(
\begin{eqnarray}
N_a&=&\boldsymbol{r}_a\times\boldsymbol{F}_a&=&-1\times(-1)&=&1\\
N_b&=&\boldsymbol{r}_b\times\boldsymbol{F}_b&=&-2\times(-1)&=&2\\
N_c&=&\boldsymbol{r}_c\times\boldsymbol{F}_c&=&2\times(-1)&=&-2\\
N_d&=&\boldsymbol{r}_d\times\boldsymbol{F}_d&=&1\times(-1)&=&-1
\end{eqnarray}
\)
のようになり、すべて加えると0になります。つまり、この場合も全体としてつり合い、円板は回転しないことがわかります。
上記の計算を一般化してみましょう。重力は重さに比例する y のマイナス方向のベクトルなので、それぞれの重りの座標と重力は
\(
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{r}_a&=&(x_a, y_a)&,&\boldsymbol{F}_a&=&(0, -m_a)\\
\boldsymbol{r}_b&=&(x_b, y_b)&,&\boldsymbol{F}_a&=&(0, -m_b)\\
\boldsymbol{r}_c&=&(x_c, y_c)&,&\boldsymbol{F}_a&=&(0, -m_c)\\
\boldsymbol{r}_d&=&(x_d, y_d)&,&\boldsymbol{F}_a&=&(0, -m_d)
\end{eqnarray}
\)
とすると、それぞれの重りによる力のモーメントは
\(
\begin{eqnarray}
N_a&=&-m_ax_a\\
N_b&=&-m_bx_b\\
N_c&=&-m_cx_c\\
N_d&=&-m_dx_d
\end{eqnarray}
\)
となります。つまり、力のモーメントの総和は以下のようになることがわかります。
\(N=-\displaystyle{\sum_{i}}m_ix_i\)
これが 0 なら釣り合い、正なら反時計回りに回転し、負なら時計回りに回転します (注 : 回転し続けるわけではありません)。
これは重りの数がさらに4個でない場合でも同じです。
動画の解説を参照
外積を使うと、点が三角形の中にあるかどうかを調べられます。
下図のように三角形の頂点 \(A, B, C\) が反時計回りに並んでいるとき、\(AB, BC, CA\) を始点・終点とする3つのベクトル \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\),
\(\boldsymbol{c}\)
を考えます。
さらに、\(A, B, C\) からこの三角形の中にある点を結ぶベクトル \(\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{e}\), \(\boldsymbol{f}\) (それぞれ
\(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\), \(\boldsymbol{c}\) と同じ色) を考えると、
同じ色の「辺のベクトル」に対して「頂点から調査点に向かうベクトル」は左側にあるので、外積はどれも正になります。
\(
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{d}&>&0\\
\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{e}&>&0\\
\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{f}&>&0
\end{eqnarray}
\)
調査しようとしている点が三角形の外にある場合は、外積のうち1つまたは2つが負になります。
(この場合は \(\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{f}\))
一方、\(A, B, C\) が時計回りに並んでいる場合は \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\), \(\boldsymbol{c}\) はこのようになります。
\(A, B, C\) を始点として三角形の中にある点を終点とするベクトル \(\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{e}\), \(\boldsymbol{f}\) はこのようになります。
この場合は外積はどれも負になります。
\(
\begin{eqnarray}
\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{d}&<&0\\
\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{e}&<&0\\
\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{f}&<&0
\end{eqnarray}
\)
つまり、三角形の3つの頂点を \(A, B, C\)、調査したい点を \(D\) とすると、以下のようにすれば点が三角形の中にあるかどうかを調べられます。
- \(AB, BC, CA\) をつなぐベクトル \(\boldsymbol{a}\), \(\boldsymbol{b}\), \(\boldsymbol{c}\) を作る
- \(AD, BD, CD\) をつなぐベクトル \(\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{e}\), \(\boldsymbol{f}\) を作る
- \(\boldsymbol{a}\times\boldsymbol{d}\), \(\boldsymbol{b}\times\boldsymbol{e}\),
\(\boldsymbol{c}\times\boldsymbol{f}\) がすべて正、またはすべて負なら点Dは三角形の中にある